通常物体を見るときには、両方の目が見ようとする目標に対して同じ方向を向いています。
「斜視」とは、一方の目が目標を向いているにも関わらず、他方の目が違う方向を向いている状態をいいます。斜視の頻度は、日本人では2%程度とされています。斜視の原因としては様々なのものがあり、遠視のような過度な調節機能を必要とする屈折異常によるものや目の筋肉や脳内の神経の異常によるもの、外傷などにより一方の視力が著しく障害されたために両目で物を見る能力が障害されてしまうものなどが挙げられます。
斜視があると、お子様の場合には視力の発達が弱いまま止まってしまう「弱視」となる場合や物体の遠近感や立体感(奥行き)などの両目で物を見る機能が十分に得られない場合があります。また、外見的な問題や物が2つに見えてしまう、眼精疲労などといった症状が年齢問わずみられることもあります。眼科では、斜視に対して眼鏡による目の位置の矯正、必要に応じて斜視手術や両目で物を見る力を養うための斜視訓練などを行います。(斜視の種類によっては、治療や適応が異なることもあります。)
目の筋肉や脳内の神経の異常による斜視では、まれに斜視以外の疾患や脳内の疾患が隠れている場合も考えられるため精密検査が必要となります。 また乳幼児では、実際は斜視ではないのに目と目の間が広いために一見目が内寄り状態に見えるものがあります。この状態は成長とともに段々外見も斜視には見えなくなってきますので大概は治療不要です。まれに本当の斜視が隠れている場合もありますので、改善されない場合には一度眼科受診をして診察を受けることをお勧めします。