最近すぐにトイレに行きたくなるけれど、他の人と回数を比べられるわけではなく対処法もはっきりわからないので困っている女性はいませんか?
この記事では頻尿の定義から女性における実態、治し方まで詳しく解説します。
目次
頻尿とは?
尿の回数が多くトイレが近い状態を頻尿と呼びます。
一般的には朝起きてから寝るまでの排尿回数が、8回以上の場合に頻尿とされます。
しかし、この回数は目安で、8回以下の排尿回数でも自分で排尿回数を多く感じている場合は頻尿といえるのです。
2021年11月に特定非営利法人日本トイレ研究所が581人の学生の女性を対象に、頻尿だと思う排尿の回数についてたずねた所、次のような結果が出ました。
6回 | 7回 | 8回 | 9回 | 10回 | 11回以上 | |
女性 | 20.0% | 14.5% | 27.4% | 8.8% | 21.3% | 8.1% |
目安の回数である「8回」と回答した人が27.4%で、7割の人が正しい目安を知らず、6回、7回など目安より少ない回数でも頻尿と感じる人が多いのが特徴的といえます。
急にトイレが近くなったと感じると心配な女性もいるかもしれませんが、まずは頻尿目安の回数を知り、自分の尿の回数と比較してみることが大切です。
頻尿の原因で女性に多いのは?
頻尿の主な原因は次のとおりです。
分類 | 項目 | 概要 |
病気 | 尿路感染症 | ・尿路に起きる感染症で、下部尿路感染症(膀胱炎、尿道炎、前立腺炎)で頻尿が起こりやすい |
過活動膀胱 | ・膀胱を制御する神経の異常により、予期せず尿意が引き起こされる病気で、主に女性の頻尿の原因となる | |
糖尿病 | ・血糖値が慢性的に高くなると尿量が増え、のどがかわき、たくさん水を飲むようになる ・糖尿病による神経障がいも頻尿を引き起こす | |
神経因性膀胱 | ・神経の異常(脳梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー病など)が原因で引き起こされる膀胱機能の障がいで、症状の1つに頻尿がある | |
女性特有の体調変化や病気 | 妊娠 | ・子宮と赤ちゃんが大きくなり膀胱を圧迫して頻尿が引き起こされる |
子宮筋腫 | ・子宮筋腫が膀胱を圧迫して頻尿となる | |
骨盤底筋の機能低下 | ・骨盤底筋が弱ると膀胱が下がり頻尿を引き起こす | |
病気以外の原因 | 水分摂取量の増加 | ・水分摂取量が増加すると尿の回数も増える |
利尿作用のある飲み物の摂取 | ・コーヒー、紅茶、アルコールなどを摂取すると利尿作用が働き頻尿になりやすい | |
膀胱を刺激する食べ物の摂取 | ・辛い食べ物や炭酸飲料などを摂取すると膀胱を刺激して頻尿になりやすい | |
服薬 | ・利尿剤などの服用で頻尿となる場合がある | |
ストレスや不安 | ・精神状態が膀胱の機能に影響を及ぼし頻尿になる場合がある | |
加齢 | ・加齢による身体の変化は特に夜間の頻尿を引き起こす |
このなかから女性に多い尿路感染症、女性特有の体調変化や病気、病気以外の原因について少し詳しく見ていきましょう。
尿路感染症
尿路感染症とは尿の通り道となる尿路に起きる感染症で、女性は膀胱から尿の出口までの通り道となる尿道までの距離が短いため尿路感染症にかかりやすい傾向です。
MSDマニュアルプロフェッショナル版によると、女性の頻尿の原因としてもっとも多いのが尿路感染症だとされています。
抗生物質の点滴や飲み薬を用いて治療し、治療中は尿路に住み着いた菌を身体の外に排出するため、水分をたくさん取って尿を出す必要があります。
女性特有の体調変化や病気
妊娠や子宮筋腫の場合、膀胱を圧迫して頻尿になるのは想像しやすいですが、骨盤底筋の機能低下が頻尿を引き起こす仕組みがわからない人も多いのではないでしょうか。
そもそも骨盤底筋とは、骨盤の中にある内臓を下から支えており、筋肉と靭帯(骨と骨をつなぐもの)、筋膜(筋肉を包み込む膜)からできています。
骨盤底筋の主な役割は次の3つです。
- 骨盤内にある内臓を正しい位置に維持
- 体幹内のインナーマッスル(身体の深部にある筋肉の総称)と一緒に腹圧を維持
- 排尿や排便のコントロール
骨盤底筋の力が弱まると、骨盤内から子宮などの内臓が下がってきて膀胱を圧迫し、頻尿が引き起こされるのです。
病気以外の原因
女性は病気以外の原因でも頻尿になることがあります。
前の項目でご紹介した表の中に何か思い当たることがあれば、頻尿の原因となる生活習慣がないか、まずは見直してみることが大切です。
頻尿を治す方法
頻尿を治すには、どのような方法があるのでしょうか。
3つご紹介します。
排尿日誌をつける
頻尿の治し方の1つとして、まずは客観的に排尿の回数や量を把握するため排尿日誌に記録を取る方法があります。
一般社団法人日本排尿機能学会のホームページには、「排尿日誌」「頻度・尿量記録」「排尿時刻記録」の3つのテンプレートがあります。
日付、起床時間と就寝時間、排尿した時刻は、どのテンプレートでも記録でき、尿漏れの有無、尿量なども追加で記録できる仕様です。ご自身が経過観察したい内容に合わせて選ぶとよいでしょう。
参考:一般社団法人日本排尿機能学会「ガイドライン・指針・声明文・転載」
骨盤底筋体操をする
頻尿を治すには、骨盤底筋体操を次の手順で行ってみるのもよいでしょう。
①→仰向けに寝て足を肩幅に開いて膝を経てる
②→膣や肛門の筋肉に力を入れて引き締め10秒ほど数える
③→力をゆるめてリラックスする
④→②と③の手順を繰り返す
仰向けに寝て体操をするのに慣れたら、立ったり座ったりして行うのもおすすめです。
食べ物や飲み物の摂り方に気を付ける
頻尿の治し方には、食べ物や飲み物の摂り方に気を付ける方法もあります。
例えば、冷たい食べ物を摂りすぎると身体が冷え、頻尿を引き起こしやすくなります。またコーヒー、紅茶、アルコールなどの飲み物には利尿作用があるため、頻尿につながりやすいです。
頻尿を起こしやすい食生活を続けていないか、まずは日頃の食事を見直してみてください。
頻尿放置は大きな病気につながる危険性あり
排尿をしても膀胱を空にすることができず、排尿が途中で停止する状態を「不完全尿閉」といいます。
尿閉が続くと腎臓に影響を及ぼし、腎機能の低下を招く可能性があるため、膀胱に溜まった尿を出しやすくする薬を飲み、管を通して膀胱内に残った尿を排出させなければなりません。
尿閉を放置すると命にかかわる重症になる場合があるので、気になる症状があれば早めに受診するよう心がけましょう。
早めに受診することで膀胱を空にできるようになるので、QOL(生活の質)が向上します。
高崎タワークリニックでは頻尿のご相談をお受けしています
高崎タワークリニックでは女性のトイレが近い、尿の回数が多いといった症状についてのご相談をお受けしています。
泌尿器科というと女性にとっては行きにくく、プライバシーや治療の痛みについても気になる所でしょう。
しかし高崎タワークリニックでは女性の医師が診察するため、同じ泌尿器科でも受診へのハードルが少し低くなるのではないでしょうか。
気軽に相談できる環境を整えてお待ちしておりますので、治したい症状のある方は次のページもごらんください。
女性専門医による泌尿器科| 高崎タワークリニック 眼科・泌尿器科 (takasaki-tower.clinic)
まとめ
頻尿とは尿の回数が多くトイレが近い状態を指し、女性の場合は尿路感染症、妊娠、骨盤底筋の機能低下などが原因で引き起こされる傾向です。
治し方は排尿日誌をつけたり、骨盤底筋体操をしたりと自分で対応できることもありますが、気になる症状があれば重症化を予防するためにも早めに受診をしてみてください。