近視抑制治療について


当院はエビデンスに基づいた近視抑制治療へ
積極的に取り組んでおります
対象:18歳くらいまで
治療・機器の紹介
眼軸長計測装置レンズスターMYOPIA及び近視進行解析ソフトEyeSuite Myopia
眼の前後の長さ(眼軸長)を測ることで近視の進行速度が速いか否かを判定できる機器です。
近視抑制治療の必要性や効果を評価することができます。
リアルタイムで近視抑制治療の効果を評価しながら治療の提案を行っていきます。
左図のように赤いエリアに測定値が入ると進行が急激で、緑のエリアに入ると近視の進行が落ち着いていると判断できます。
このように近視抑制治療の効果を視覚的にわかりやすく判定することができます。
近視の進行リスクのサンプル
近視の進行予測のサンプル
レッドライト療法
当クリニックで使用するEyerising (アイライジング)はオーストラリアのEyerising International 社が製造するデバイスです。本デバイスは日本国内では未承認の医療機器です。レッドライト治療とは近視の進行抑制を目的として当院で貸出する上記デバイスを使用し、ご自宅で週5日1日2回、1回3分間デバイスから発光される赤色光を見つめていただく治療法です。
650nm の赤色光による近視進行抑制については、複数の研究報告があります。
(●Jiang Y, Zhu Z, Tan X, Kong X, Zhong H, Zhang J, Xiong R, Yuan Y,
Zeng J, Morgan IG, He M. Effect of Repeated Low-Level Red-
Light Therapy for Myopia Control in Children: A Multicenter Ran-
domized Controlled Trial. Ophthalmology. 2022 May; 129(5): 509–519.
●He X, et al. Effect of Repeated Low-level Red Light on Myopia in Children. JAMA Network Open. 2023;6(4):e238596.
●Cao K, et al. Daily Low-Level Red Light for Spherical Equivalent Error and Axial Length in Children With Myopia: A Randomized Clinical Trial. JAMA Ophthalmology. 2024;142(6):563–571.)。
※これらは海外での研究報告であり、日本国内での承認を意味するものではありません。
レッドライト治療機器について
本機器は国内では未承認です。以下に海外での承認状況を示します。
国際的にはレーザー安全基準 IEC 60825-1:2014 に基づき Class 1相当とされ、EUや英国ではでクラスIIa/クラスB医療機器として登録されています。
・オーストラリア:Therapeutic Goods Administration(TGA)の承認を受け、在宅用の小児近視管理を目的とする医療機器として登録済み(3〜16歳の小児近視に対し、近視管理を目的として使用されている機器とされています。)。
・欧州連合(EU):CEマーク取得済みで、クラスIIa相当の医療機器として販売が認められている。
・英国:MHRA(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)による承認/登録がなされており、CEマークと並行してクラスIIa/クラスBデバイスとして扱われている。
・ニュージーランド:Medsafe の承認・登録を受けており、小児近視マネジメント用医療機器として市販されている。
・中国:NMPA(旧CFDA)でRLRL機器として承認されており、中国国内でも商業的に使用されているが、近年クラスIIIへの再分類など規制強化が進んでおり、同社は追加エビデンスの提出準備をしていると報告している。
・トルコ・シンガポール・マレーシア・インドなどでは、販売・導入が進んでいる/申請中とされ、少なくとも一部の国ではクラスIIa/クラスB医療機器として承認済みと報告されている。
・アメリカ合衆国では、現時点でFDA承認は得られておらず、同社は今後のFDA申請に向けて安全性・光暴露に関するANSI Z80.21などの基準を満たした試験を行ったと説明している。
レッドライト治療の費用について
レッドライト治療に関連した検査・治療費用はすべて自費となります。
治療費
- 適応検査費:13,000円
治療費(定期検査費含む):165,000円(治療費検査費)
- 機器使用料
・一年分一括:89,100円
・月払い:8,250円×12
※機器使用料は、Eyerising International 社へ直接お支払いいただきます。
- 3か月ごとの検査費:7,700円
- 機器使用料:月8,250円
・1年分一括:89,100円
・2年分一括:158,400円
※Wifi環境が必要です。
レッドライトの副作用とその留意点
①治療後に一時的にまぶしさ、閃光盲、残像が生じることがあります。
②治療中に光過敏症、眼刺激、眼熱場などの不快感が生じる場合があります。
③本治療に関連して、網膜障害や視力低下が報告があります。光治療に対する過敏症が背景にあると推察され、治療中止後数か月後で改善したとの報告があります。治療前に十分な検査と説明を行い、適応を慎重に判断します。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーでは、寝る前に専用の特殊コンタクトレンズを装着することで、寝ている間に目の表面(角膜)の形状を変化させます。角膜の形状を平らに変化させることで軽度の近視・乱視の矯正を行い、日中を裸眼で過ごすことを目的とした治療です。
2004年に近視抑制効果が報告(Cho P, Cheung SW, Edwards M. “The longitudinal orthokeratology research in children (LORIC) in Hong Kong: a pilot study on refractive changes and myopic control.” Curr Eye Res. 2005;30:71–80.)されて以降、国内外で近視進行に対する研究が蓄積されています(Kakita T, Hiraoka T, Oshika T. “Influence of overnight orthokeratology on axial elongation in childhood myopia.” Invest Ophthalmol Vis Sci. 2011;52:2170–2174.やSantodomingo-Rubido J, Villa-Collar C, Gilmartin B, et al. “Myopia control with orthokeratology contact lenses in Spain (MCOS): refractive and biometric changes.” Invest Ophthalmol Vis Sci. 2012;53:5060–5065.など)。
※研究結果は個々の治療成績を保証するものではありません。
当院では慎重に適応を見極めた上で処方を行っております。ご興味をお持ちの方はまずいちどご相談ください。
リジュセア・マイオピン(低濃度アトロピン治療)
低濃度アトロピンは、近視進行抑制について効果が報告されている治療法です。点眼を一日一回就寝前に使用します。
1%アトロピン点眼は1960年ころには学童期の眼球の前後方向への伸長、すなわち近視化を妨げる効果があるとして研究がされ始めました。
しかし瞳孔が開き続けることによる眩しさ・不快感が出る、眼の調節機能が麻痺し読書や作業が困難になる、アレルギー性結膜炎や発熱副作用があり、近視抑制治療としては実用的なものではありませんでした。
1999年に濃度を薄めたアトロピンでも近視進行抑制効果が報告されました(J Ocul Pharmacol Ther. 1999;15(1):85–90. doi:10.1089/jop.1999.15.85)。2012年には大規模な臨床試験(シンガポール国立眼科センター/国立大学が行った ATOM2(Atropine for the Treatment Of Myopia 2)試験)の結果が公表され(Ophthalmology 2012;119(2):347-354 )、低濃度のアトロピンでも近視抑制に有効であり濃度を薄めることで副作用が減らせることが確認されました。
その後、香港の香港中文大学が主導したLAMPスタディ(Yam JC, Jiang Y, Tang SM, et al.Low-Concentration Atropine for Myopia Progression (LAMP) Study: A Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled Trial of 0.05%, 0.025%, and 0.01% Atropine.
Ophthalmology. 2019;126(1):113–124.)では濃度に対する検討が行われ濃度依存性に有効性があがることが報告される一方、濃度依存性に中止後のリバウンド効果(中止後に近視が進行する現象)が報告されています。
当院では国内承認を得た0.025%アトロピン製剤のリジュセアと国内未承認品の0.01%アトロピン製剤のマイオピンの2種類を取り扱っております。治療をご希望の方へは承認品であるリジュセアについてまずご説明し個別の状況に応じて選択していただきます。
リジュセア・マイオピンの治療適応について
対象となるのは以下のお子様です。
・軽度または中等度の近視の方
・弱視や仮性近視が除外された方
・1~3ヵ月毎の定期通院が可能な方
・2年以上(リジュセアはリバウンド防止の観点から10代後半まで)の継続が可能な方
マイオピン(国内未承認品)の安全性について
マイオピン0.01%は国内未承認品です。
本製品は、GMP(Good Manufacturing Practice・品質管理)に準拠した工場で製造されています。
シンガポール国立眼科センターの研究(2年間)では、 眼圧変化、アレルギー性結膜炎、白内障形成、調節障害、網膜電気生理学的異常などは当該研究では報告されませんでした。
※国内での承認を受けた製剤ではないため、日本国内における有効性・安全性は未確立です。
リジュセア・マイオピンの副作用について
次の副作用が報告されています。症状の程度によっては継続困難な場合があります。
羞明・視力障害・霧視・瞳孔障害・調節障害・眼瞼湿疹・グレア(光がぎらついて見えたり線状に伸びたりみえる現象)・頭痛
治療のスケジュール
治療をご希望の方は、まずは受診をお願いいたします。検査を行ったのち、治療のご相談をさせていただきます。
※念の為保険証・医療証もご持参ください。
治療開始される場合は原則として点眼開始後1週間で再診、その後1か月で再診し問題なければ3か月間隔での通院となります。
多焦点コンタクトレンズ
特定の多焦点コンタクトレンズは近視抑制治療として効果的との報告が多くなされています。当院では近視抑制治療を目的とした多焦点コンタクトレンズの処方・交付を自費治療として扱っております。
初診料2200円または再診料1,100円レンズ処方料2,500円、レンズ代は一箱4,350円にて承ります(院外での購入目的での処方箋発行はしておりません)。取り寄せになりますので当日の受け取りはできません。自費にて購入いただいた方は定期的に眼軸長測定にて、近視抑制治療の効果を確認することができます。
- 詳しくはお問い合わせください
- TEL:027-384-8241

