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小児眼科:新型コロナウイルスと学童期の近視進行との関連性について

2020年2月ごろから新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、全国の学校で3月〜5月中旬まで一斉休校の措置が取られました。あわせて外出自粛の要請も出され、お子さまたちは自宅での待機を強いられるようになりました。

また、一斉休校が解除された後も補習授業の増加や運動会や文化祭などの行事の中止などにより、屋外活動時間が減少し、屋内での近見作業時間が極端に増加したと言われています。

学童期の近視の進行は、環境因子による影響が大きいことが以前から国内外で報告されています。

新型コロナウイルス感染症拡大防止措置として行われた一斉休校・外出自粛によってお子さまの”視る”環境の変化が近視進行に何らかの影響を与えた可能性が考えられており、今とても注目されています。

今回、新型コロナウイルス蔓延下で学童期の近視速度がどう変化したかについての調査が京都府の小学校で行われ、とても興味深い結果が報告されたのでご紹介したいと思います。

報告結果によると、一斉休校や外出自粛の期間にあたる年度ではいずれの学年においても明らかに他の年度に比べて近視化が進んでいて、なかでも低学年〜中学年児童における近視の進行速度が顕著に増大していました。

また近視化がはじまる時期として、特に小学校2年生〜3年生時に目の屈折状態が近視へと移行していく傾向がみられたとも報告されています。

学童期にみられる近視は眼球自体が前後方向に成長していく過程に伴う近視によるものが大多数です。

今回の調査では眼球の長さ(眼軸長)を測定する検査もあわせて実施しており、近視の進行に伴って眼軸長も有意に伸びていたことも明らかになりました。

近年、近視化がはじまる年齢が若年齢化している傾向にあります。

これは、幼少期からスマートフォンやタブレット端末、ゲームなどの電子機器にふれる機会が多く、近くでの作業時間が極端に増えていることと関係していると言われています。

また報告にもあったように、近年はコロナ渦での自粛で屋外活動が制限され、お家でのリモート授業や宿題といった近くを見る作業ばかり行っていたことも児童の近視化を加速させている大きな要因ではないかと考えられています。

近視の初発年齢が若年齢化していく現代において、早い時期に近視を発見し少しでも進行を抑制して強度の近視へと移行させないようにすることはとても重要になります。

強度の近視は、将来的な網膜剥離や緑内障などの発症のリスクを高めます。

学校検診でA判定であっても普段の生活において次のような症状がある場合は、近視や乱視などの屈折異常が隠れている可能性もあるので早めの受診をお勧めしております。

 ・ 目を細めてものを見るしぐさ

 ・ お顔の角度を変えてみるしぐさ

 ・ 教科書を読んで勉強していると疲れやすい

・ よく物に近づいて見ていることが多い         など

近視は、近業作業時間の増加によって進行することや、屋外活動時間の増加によって進行が抑制されることも段々とわかってきています。

過度な近方作業は目への負荷を増加させ、近視の進行や急に発症する斜視などにつながることもあります。

タブレットなどを長時間見ているようであれば、“20分ごとに20フィート(約6m)先にあるものを20秒見る(20-20-20の法則)”ようにお子さまにご指導いただけると疲れ目の予防にもなります。

適切な学習環境や姿勢、適度な屋外活動時間の確保などを心がけ、タブレットなどを使用される場合はご家庭内でルールを決めていただくことが良いと思います。

当院では近視抑制治療としてマイオピン点眼治療やオルソケラトロジー治療を導入しております。

お子さまの近視でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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