ものもらい
一般に私たちが“ものもらい”と感じるものは、眼科では大きく「麦粒腫」と「霰粒腫」に分けられます。
「麦粒腫」とは、まぶたの外側や内側に並んでいる汗腺や脂を分泌する腺に細菌感染を起こしたもので、一般的な「ものもらい」を表します。1年を通して比較的汗をかきやすい夏場に感染することが多いほか、疲労や寝不足などで免疫能力が低下しているときにも発症することが多いとされています。感染によって、通常まぶたが赤く腫れてまばたきすると痛みを伴いますが、抗菌薬の目薬で良くなります。
「霰粒腫」とは、まつげの生え際に並んでいる脂を分泌する腺が詰まって、コリコリと丸くて表面が滑らかなしこり状になったもので、別名「めばちこ」とも呼ばれます。多くの方が「ものもらい」と誤解されやすい紛らわしい病気です。霰粒腫に細菌感染を伴うと、麦粒腫と同様に赤く腫れて痛みを訴えます。霰粒腫は一般的に自然につぶれて改善することが多いので、炎症を抑える目薬や抗菌薬の目薬で経過をみます。あまりに大きくなって目が開きづらいほどになる場合は切開することもありますが、再発する可能性もあります。
ご高齢者様での「ものもらい」や「めばちこ」は、異なる目の病気である場合もありますので異常に気付かれた際には診察時にお尋ねください。
逆さまつげ
通常まぶたから外側に向かって生えているまつげが、上向きや内向きに生えて目に接触している状態を「逆さまつげ」といいます。まぶた自体が内側へ向いている状態や先天的にまぶたの皮膚が厚い状態、加齢によるまぶたの皮膚のたるみ、外傷などによるまつげの生え方の部分的な異常といった様々な要因で起こります。
お子様にみられる先天的な逆さまつげは、生来まぶたの下の脂肪が多く全体的に内側へ厚みをもって膨らんだ状態となるためにまつげも上向きに生えて目に接触してしまうことで起こります。成長に伴い、まぶたの皮膚が薄くなってくることで自然に改善することもあります。一方で、まばたきする度にまつげが目に当たることによる刺激で黒目が傷ついて見えづらくなる場合やごろごろする異物感、まぶしさなどの症状によって日常生活に不便を生じることがあります。症状が軽い場合には目の表面を保護する目薬で様子をみますが、学童期に入っても症状が改善しない場合には余分な皮膚を切除してまつげの生え方を変える手術などを行う必要があります。
成人にみられる後天的な逆さまつげの多くは加齢によるものです。下まぶたの皮膚が緩むことで全体的に内側へ倒れこむことでまつげが目に接触してしまうことで起こります。まつげが目に当たることによる刺激で黒目が傷ついて見えづらくなる場合やごろごろする異物感が生じます。多くは目に接触しているまつげを抜く治療を行うことで改善しますが、改善しない場合にはまぶたを挙げる筋肉を修復する手術などを行います。 その他、やけどや外傷による逆さまつげでは、目の状態や症状に個人差があるためにそれぞれ治療や手術の方法も異なります。治療方法などの詳細については医師からの説明をお聞きください。