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黄斑上(前)膜(網膜上(前)膜)について

黄斑上膜とは網膜において視力の中心である「黄斑」に「膜」が張ってしまった状態のことを言います。

程度は様々ですが進行したものでは黄斑が牽引され、構造が変化し“かすみを伴う視力不良”や“物体や線の歪み(変視症)”、“ものが実際よりも大きく見えたり小さく見えたりする”などの自覚症状が生じることがあります。

 これより広いくくりで網膜の表面に薄い膜が生じた状態のことを「網膜上膜 (網膜前膜)」といいます。この膜は網膜のどの部位にも生じ得ますが、特に視力に大きく関与する黄斑部に生じるものが問題となります。黄斑部に膜が生じたものを特に「黄斑上膜 (黄斑前膜)」と呼びます。

 網膜上膜は加齢以外の原因のない特発性のものと他の病気や炎症に引き続いて起こる続発性のものにわかれます。

 特発性網膜上膜が網膜上膜のほとんどを占めます。特発性に生じたものはしばらくは自覚症状が出ないことが多く、検診や他の目の症状で診察を受けた際に発見されることも珍しくありません。

続発性網膜上膜は、ぶどう膜炎や網膜剥離、糖尿病網膜症などが原因となります。特発性に比べ進行が速く、生じる膜の厚みも厚いことが一般的に多いです。

 網膜上膜に対する根本的な治療は、手術による膜の除去です。手術の方法は特発性・続発性ともに同じです。顕微鏡下に専用の装置を利用し硝子体を切除した後、網膜の一部の組織を含め黄斑上膜を取り除きます。主に自覚症状が強い場合や進行性の強いものが手術の適応になります。黄斑部は視力に関与する大事な組織であるため、手術も高度な技術を必要とします。

また、手術によって膜を取り除いたとしても直ぐに良く見えるようになるわけではなく、改善には数ヶ月を要する場合や視力としては現状維持に留まる場合もあります。理由としては、膜によって生じた網膜のむくみや歪み・変形が手術後もある程度残るためです。これらの症状は自然に回復するのを待つしかなく、回復に伴って視力も徐々に改善していくことがあります。しかし視力や歪みの改善には限界があり、最終的にある程度の視力障害やものの歪みは残ってしまうことが多いです。特に症状が出てから長期間放置した場合では視力障害やものの歪みの改善がよくない傾向があります。

 網膜上膜は再発することもしばしばあり、再発率は5~20%と言われています。

 黄斑上膜は、眼底検査や眼底写真撮影では膜が透明なため膜の所見がはっきりしないことも多いです。診断には、網膜の断層像を撮影する光干渉断層計検査(OCT)が必須となります。光干渉断層計検査(OCT)では網膜の上に生じた膜の存在部位を把握できるだけでなく、膜によって生じる網膜のしわやむくみの観察も行うことができます。その他補足検査として、アムスラーチャートと呼ばれる格子が描かれた検査表を用いてものの歪み(変視症)の程度を判断する検査やものを見る中心付近の感度を調べるために視野検査が行われることもあります。

軽度の歪みは両眼でみていると意外と認識しづらいことが多く、日常のふとした瞬間に片目づつ見ることで症状に気づき来院される方も多いです。

検診などで指摘された場合やものの歪み・ものの大きさが違って見えるなどの自覚症状に気づかれた場合には、一度眼科受診をお勧めします。

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