目の表面にある涙の量は通常約30マイクロリットル(0.03cc)と言われています。
目薬1滴の量は約30〜40マイクロリットルなので、点眼薬は目の中に1滴入れば十分足ります。
2滴以上を点眼したとしても、あふれるだけで薬効が上がるわけではありません。
また点眼薬の種類によっては副作用が増えてしまう原因にもなります。
普段から点眼薬を多く使用される方もいらっしゃいますが、目の表面には目を守るための大切な物質も存在しています。
目を洗うような点眼薬の使い方はかえって目の状態を悪化させる可能性があるので控えた方が良いでしょう。
ここで目薬のさし方について、今一度おさらいしたいと思います。
➀ 使用前に手をせっけんと流水でよく洗います。
➁ お顔を上向きになるような姿勢をとって、下まぶたを軽く下にひいて、片目につき1滴を点眼します。
➂ 目薬が入った後はまばたきをせずに、ゆっくり目を閉じます。
目を閉じた後は、しばらく目頭を軽く押さえてください。
(目薬が鼻の方へと流れていかずに目の中にとどまってくれます。)
<注意事項>
・点眼の際は、容器の先が目やまつ毛に触れないように注意しましょう。
・2種類以上の目薬を使う場合は、医師から決められた順番を守って、目薬と目薬の間は5分以上間隔をあけて点眼するようにしましょう。
特に緑内障や感染症、手術後などでは複数の点眼薬を使うことが多いです。続けて点眼することで効果が十分に得られない場合や、病状が悪化する可能性もあるので注意して使用しましょう。
左右の目で視力や見える範囲に大きな差があると、悪い方の目に目薬を入れるのが難しい場合もあるかと思いま
す。
そこで、上手に点眼するための点眼方法や補助具についていくつかご紹介したいと思います。
げんこつ法
げんこつを作って目の下側に置き、げんこつの上に目薬を持った手を置いて点眼する方法です。げんこつを作ることで点眼する手の支えになるので点眼する位置がぶれないのが特徴です。
点眼補助具
点眼が苦手な方へ向けた補助具です。目薬を指定の器具に取り付けて使用します。
カップ状になっている部分を目に置くことで、常に正しい位置で点眼することができます。
さらに、目薬の先が目に当たらない距離も保てるので目薬の汚染も防ぐことができるのが特徴です。
また、お子さんの点眼で苦労されたことも多いのではないでしょうか?
子どもは目薬が嫌いで、暴れられてしまうと目薬をさすのは難しいうえに危険です。
以下に、いくつかお子様に対する点眼方法をご紹介したいと思います。
プロレス法
介助される方の両足でお子さんの腕をおさえて点眼する方法です。
馬乗り法
お子さんに馬乗りになるような形で体位を固定して点眼する方法です。
<ワンポイントアドバイス>
・介助者が1人では難しい場合は、2人以上で点眼された方が行いやすい場合があります。
・泣いてしまうときは点眼を控えるようにしましょう。(涙で目薬が流れてしまいます)
・寝ている間に点眼すると嫌がらずに行えることが多いです。
・目を閉じる力が強い場合は、目頭の近くに目薬を滴下してから目を開けさせると入りやすいです。
最後に、診察室で目薬に対してよく聞かれる内容や注意事項についてもお話したいと思います。
一般的に、目薬1本は両目に1日3回点眼する場合で約1か月はもつとされています。(目薬の種類によります)
一度開封した目薬は1か月以上経つと不潔になりますので、1か月以上過ぎて残っている目薬は捨てるようにし
てください。また、目薬には使用期限が記載されていますので、未開封のものでもその期限までには使うようにしましょう。
保管方法ですが、目薬は遮光保存のものが一般的ですので高温になる場所での保存は控えてください。
しかし目薬の種類によっては冷所保存のものもありますので、その場合は医師の指示に従って冷蔵庫に保管する
ようにしてください。
その他、目薬の点し間違いや回数を間違えてしまう方もよくお見掛けします。視力低下などによって点眼びんの
ラベルや形状が分かりづらい方であれば、点眼びんにゴムなどを巻いたりして特徴をつけたりすると点眼の間違
いを予防する工夫になるかもしれません。
ここまで目薬についてお話してきましたが、皆さんの日頃の目薬の使い方はいかかでしたでしょうか?
「使いすぎかな?」もしくは「さぼり気味かな?」など感じられた方は、この機会に見直していただけたら幸い
です。
その他、お困りのことがございましたら遠慮なくご相談ください。