ニュースでも取り上げられている通り、今年は例年より早めに花粉の飛散が本格化しています。
昨年、眼瞼表面に塗布して用いられる抗アレルギー剤のクリームが発売されました。小児の患者様で点眼が苦手な方やご高齢の方で点眼が難しい方から期待が大きい反面、点眼と比較して効果はどうだろうかとの心配の声も多く聞かれます。今回はこの製剤の利点と懸念されていることをお伝えできればと思います。
メリット①:回数が少なくて済むので継続しやすい。
一般的に用いられることの多い、エピナスチンやオロパタジン点眼などの抗アレルギー点眼はヒスタミン受容体をブロックする・マスト細胞の膜安定化作用の2つの効果により作用すると言われます。リアクティブに使用(痒いときだけ点眼)するよりプロアクティブに使用(かゆみを感じる前から点眼)することが効果的で、約4時間ほど(持続作用のあるものでは8時間ほど)効果を発揮しますが、これは朝8時に点眼したら12時、16時、20時(持続点眼では8時、16時)には点眼をしないといけないとされ継続使用することに困難が伴います。その点1日1回だけの使用であれば入用後や就寝前などの際に使用していただくことが可能です。
メリット②:点眼が苦手な方も使用しやすい
点眼を正確に行うことができる方は少数派です。特に小児では嫌がってしまいできなかったという方が多いですし、ご高齢の方では狙いが定まらずなかなか入らない方、またそうでなくても花粉症の時期のみの点眼で不慣れな方では特に正確に点眼できる方が少ないという報告も多数あります。塗るだけであればその点の問題点もクリアできます。
デメリット①:使用した方の約半数が再診時に点眼を希望している
当院では昨年発売されて以降たくさんの患者様に処方させていただきました。クリームを実際使用された方の約半数が再診時に点眼での処方を希望されています。再診時に点眼を希望された方のご意見としては効果が感じにくいという意見が多くみられました。抗アレルギー薬はそもそも痒くなってからの点眼は効果が低いことが知られていますがやはり即効性を求められる方、リアクティブに使用したいという方が多いことが原因の一つにあると思われます。この点は処方時に丁寧に説明させていただくことに加え、ステロイド点眼などの適正使用、またはヒアルロン酸などの併用も効果的と思われます。
デメリット②:適応や避けるべき症例を見極めるのが(専門医以外では)難しい
表皮の状態が悪い方には表皮の治療を優先する必要があります。安易にクリームを使用すると皮膚症状が悪化します。眼科や皮膚科医では判断を誤ることはありませんが、専門外の先生の場合その判断が難しいケースもあるようです。アレルギー性結膜炎では目を擦って表皮に炎症が起こっていることも多いので実は適応外の症例が少なくありません。
アレルギー性結膜炎は重篤な後遺症を起こすこともある重症型への移行を防ぐことが重要です。そのため早期にそのリスクを見極め必要に応じてステロイド点眼や免疫抑制剤点眼を使用します。少なくとも充血があるような症例では眼所見の評価ができない医師から処方を受けるのは危険と考えてください。またステロイド点眼を眼科以外で処方されているようなケースも散見されますがかならず眼圧を測定できる医療機関で処方を受けるようにしてください。他科で投薬を受けており眼科を初診された際にはひどい結膜炎にかかっている症例はいままで多く経験してきましたがこれからそのような症例が増えるのではないかと危惧しております。
以上メリットデメリットを紹介させていただきました。適正に使用すれば効果の高い薬剤であることは間違いありませんので眼の痒みにお悩みの方はぜひ一度ご相談いただければと思います。